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砂の薔薇 新谷かおる
 カッコイイ女の子がたくさん出てきます。疲れたとき、弱っているとき、へこんでいるときに開くと、何となく元気になれます。

 まずはじめに、私は、小説、漫画、アニメ、映画を問わず、戦いモノ全般が大嫌いです。戦争モノはもちろん、“種族が違えば人間ではない、従っていくら殺しても問題なし”との考えが見え見えなので、映画化されるような世界的大ヒットファンタジーも、好きになれず見ていてもあまり楽しくありません。電気ネズミが出てくるお子さま向けアニメも、嫌いです。あんな、善悪の判断も付かない子供の時からころせーとかいうものを見せるのは良くないですよ。

 なのに何故これなのか。それでは少しだけこれの説明をしましょう。舞台はアメリカ、CATという、対テロ専門の民間傭兵部隊のお話で、主人公は米国籍を所有する日本人女性隊長マリー。彼女をトップに女子ばかりで編成されたディビジョンMと呼ばれる隊は、出身国もそこに至るまでの経歴も様々な、その道のプロばかり。この面々が、美しく、強く、そして哀しいのです。

 新谷氏の絵ですから、女子キャラはあくまでもかわいく美しく、キュートでチャーミング。あり得ないくらいのゴールデンプロポーションで、結構露出の高い描写もあるんですけど、猥褻に感じないのが氏の作品の特徴ですね。

 その女子たちが、おまけにもの凄い技術も併せ持つスーパーウーマンばかり、というのも氏の作品に多い傾向です。そして今作は対テロ傭兵部隊の話ですから、その技術とはすなわち戦闘であり殺戮です。

 技術の高さには、判断力決断力を含みます。彼女たちは無駄に迷ったり悩んだりすることなく、的確かつ迅速に問題を処理していきます。ある意味、非情に見えるほどの冷静さで、しかもあくまでも美しく。だからといって彼女たちはみんな冷血漢かというと決してそうではないのです。それは常に、殺るか殺られるかぎりぎりの現場に置かれているから。そして、自分が守るべきものは何で、そのために自分が今するべきことがしっかりわかっているから。彼女たちの表情の裏には、必ず哀しみが描かれています。この、哀しみの表情がしっかり描かれているから、戦いモノ大嫌いなはずの私が、何故か心引かれる作品なんだと思います。

 そう、みんなとてもカッコイイんですけど、ただカッコイイだけじゃないんですよね。それぞれがいろんなものを背負っていて、心の内には常に哀しみを抱えていて、それでもなお、いやそれだからこそカッコイイのでしょう。読むたび元気が沸いてくる理由はそのあたりにあるのかも。女だてらに頑張ってるんです!! というあなたに一度見て欲しいです。

 この本を知ったそもそもは、旦那がコミックスを買ってきたから。背の色が少し焼けたようなのをあちこちの古本屋を回って全15巻揃えました。今はコミックス文庫になっているようですが、そちらでも新刊を揃えることは難しいかもですね。コミックスと同じ巻数で、表紙の絵も同じのようです。私は佐伯かよのさんの「口紅コンバット」を読んだことがあり、絵も雰囲気もそれと似てるなーと思ってたら、ご夫婦なんですってね。へー。

 一番好きなキャラはアイリーンかな、新谷さんもお気に入りのキャラのようで、他の作品でもちょこちょこ出演してますよね。スーパーガール過ぎなくて、一番自己投影しやすいのかも。彼女が新興宗教の教祖にさらわれて生け贄にされかかる話が好きです。あと副官のヘルガが国境越えをしたときのエピソードも好きです。結構泣かされる話も多いです。あ、OVAも見ました。原作のイメージを損なわず、なかなかいい出来なんじゃないですかね、楽しめましたよ。

 各話のオチが、ちょっとひねりの利いたニュアンスのあるシーンで終わるのもこじゃれていて好きです。年に何度か、家の片付けをするとき、読み終わった本などを古本屋に持って行ったりしていますが、これだけは売らないでね、と旦那にお願いしています。
[2009/02/14 05:22 ] | 人生で大切なことはみんな漫画で教わった | コメント(0) | トラックバック(0)
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